宮城県仙台市の総合病院 独立行政法人労働者健康安全機構 東北労災病院(とうほくろうさいびょういん)

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股関節センター長と膝関節センター長のインタビュー掲載について(2)

日本最大級の医療従事者専用サイト、m3.com <エムスリー>に股関節センター長と膝関節センター長のインタビューが掲載されました。

第2回目のインタビュー記事をご紹介します。

【宮城】股関節・膝関節の両側同時手術、別部位同時手術も可能-千葉大介・東北労災病院股関節センター長らに聞く
◆Vol.2

ROSA研修施設として国内外から受け入れ、人材育成に注力

東北労災病院(仙台市)の股関節センターと膝関節センターでは、左右の股関節または膝関節を一度に治療する両側同時手術、さらには股関節と膝関節という別部位の同時手術まで対応するという全国的にも希少な体制を整えている。手術支援ロボット「ROSA」の研修施設として国内外の人材育成に注力していること、整形外科医としてのやりがいや信念を、股関節センター長の千葉大介氏と、膝関節センター長の國井知典氏に聞いた。(2025年9月29日インタビュー、計2回連載の2回目)

股関節・膝関節の同時手術を1年で10例弱実施

東北労災病院では両側同時手術、さらには股関節・膝関節という別部位の同時手術も可能とお聞きしました。
千葉  全身状態に問題がなければ、左右の股関節または膝関節を一度に治療する両側同時手術が可能です。それが一 つの売りになっていて、当院のホームページを調べて、わざわざ岩手県や山形県など遠方から来院される患者さんも増えています。

東北地方ではこれまで両側同時手術をできる施設が少なく、関東地方まで移動して手術を受けてくるという話をよく聞きましたが、仙台市で希望をかなえられるようになったのは大きな価値になっています。

國井 さらにまれなケースではありますが、股関節と膝関節という別部位の同時手術も行っており、これは全国的にも対応している施設は非常に少ないと思います。通常は膝関節と股関節のどちらかを先に手術して、残りはまた後日 手術するというケースが多いです。
 
私と千葉先生の手術日が火・木・金の週3回あり、同日に手術を行える体制だからこそ実現できています。約1年前から取り組みを始め、これまで10例弱の股関節・膝関節の同時手術を実施しました。


千葉大介氏(右)と國井知典氏(病院提供)
地域の医療機関とはどのように連携していますか。

國井 かかりつけ医として患者さんを紹介していただいている先生たち向けに当院主催の談話会を年数回開いて、症例報告や診療内容などを共有しています。膝関節、股関節だけでなく、肩、脊椎、リウマチなど広い分野で、患者さんを紹介してもらえるよう呼びかけています。

千葉 開業医の先生が主催する勉強会に講師として呼ばれることもあり、ROSAにより合併症が減った症例を共有すると、これまでつながりがなかったクリニックからも紹介が来ることがあります。
 
ただ、当院の医師も含めて、エリアの開業医は多くが東北大学病院関連の先生なので、もともと顔見知りが多いです。お互いに紹介し合うことは頻繁で、かなり密にネットワークを張っています。
人材育成の役割をどのように考えていますか。

千葉 当院はROSAの研修施設に指定されており、ROSAのライセンスを取るために国内外から研修に訪れます。ROSAの股関節分野のライセンスを取得できる施設は、国内では当院と藤田医科大学ばんたね病院(名古屋市)の2カ所しかありません。
 
遠いところではタイから研修に訪れた医師も受け入れました。専攻医らから手術見学の問い合わせを受けることも多いのですが、基本的にお断りしないことを心がけて、ウェルカムな姿勢で対応しています。

國井 私たちは専攻医の先生に選ばれる立場ですので、若い先生たちが働きやすい職場環境をつくってアピールしていかなくてはなりません。「ここで働きたいな」と思ってもらうことで自然と人員が集まり、持続的な発展につながると考えています。
 
若い研修医や専攻医にとっても学びの場となることを意識しており、教育的役割は今後さらに強めていきたいと思います。

「手術で劇的に人生を変えられる」整形外科医の魅力

お二人が整形外科を専門に選んだ理由を教えてください。
千葉 医学部生時代にいろんな科を実習で回る中で、もともと外科手術に憧れがあったというのもあって、外科系を志しました。整形外科では命に関わるような手術は比較的少なく、動けなかった人が動けるようになって元気に退院していくケースが多いので、そういう明るい雰囲気がいいなと感じました。患者さんにものすごく喜んでもらえることが整形外科医のやりがいです。

國井 整形外科は他の外科系診療科に比べて、手術時間も長くなく、いろんな種類の手術でたくさんの患者さんの治療に当たることができます。手術で劇的に人生を変えられるケースもあり、治療の成果を患者さんとともに感じられて、患者さんの満足度も高いです。
 
実は、私の母は15年前に膝の疾患で手術を受けています。私は当時、医師3年目だったのですが、手術を担当された先生に「次にお母さんがけがをした時、自分で手術できるようになりなさい」と言われました。先輩医師の姿にあこがれを覚えたことが、膝関節を専門に選んだ大きなきっかけになっています。
 
その後は経過良好だったのですが、8年ほど前に反対側の膝も悪くなり、私が母の手術を執刀することになりました。その時に改めて「自分の家族に受けさせたい医療を患者さんにも提供できるようになろう」と心に刻みました。私の親族への執刀も複数回経験しており、膝関節の治療はニーズが高い分野であることを実感しています。


千葉大介氏(左)と國井知典氏
 
今後の目標を教えてください。
千葉 私が股関節を専門にしたいと決めた時、師匠の先生から「自分で専門だと思っていても、本当の意味での専門 医ではない。医師仲間から患者さんを紹介してもらえるようになって、初めてその道の専門だと言えるのだ」と言われました。その言葉通り、医師仲間から信頼されて患者さんを紹介してもらえる医師になることを目標に頑張ってきました。これは、かなり高い理想像ですが、その目標に向かって日々勉強し、手術の技術を磨き、患者さんに向き合ってきました。
 
今は、これだけ多くの紹介患者さんが来ていること、私が労災病院に異動してからの手術件数が3倍近くに増加したことを考えると、昔思っていた理想像に近付いていると感じています。そして、まさか自分がそのような立場になれるとは思っていませんでした。
 
その反面、プレッシャーも感じています。患者さんを自分に託してくれる先生方の期待を裏切らないようにしなくてはいけないという思いがあります。現状に慢心することなく一人一人の患者さんに真摯に向き合い、初心を忘れずに診療に取り組んでいきたいと思っています。
 
今後は手術件数の増加に取り組むことはもちろん、並行して人員確保と後進育成に努めたいです。整形外科の後輩の中にも股関節専門でやりたいと希望する医師がいるので、一緒に手術に入って技術を指導しているところです。

國井 これまで私自身、先輩たちに非常に愛情を持って育てていただきました。同じように愛情を持って、これから医師になる学生、そして整形外科医になる若い先生たちの手助けをできたらいいなと思います。


◆千葉 大介(ちば・だいすけ)氏
2001年東京医科大学卒、東北大学病院整形外科医員。2001年岩手県立磐井病院、2004年国立病院機構仙台医療センターなどを経て2007年から2011年まで東北大学大学院医学系研究科博士課程。2011年から東北大学病院で高度救命救急センター助教、整形外科講師などを歴任し、2023年4月に東北労災病院整形外科下肢関節外科部長、同年7月から股関節センター長。

◆國井 知典(くにい・とものり)氏
2007年福島県立医科大学卒、仙台市立病院研修医。2009年東北大学入局、平鹿総合病院、 登米市立登米市民病院など。2014年仙台整形外科病院に着任し膝診療スタート。2021年に東北労災病院整形外科下肢関節外科第二部長、2024年6月から膝関節センター長。
 

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