遺伝カウンセリング体制
遺伝カウンセリング外来
遺伝カウンセリングとは何をするのですか?
遺伝カウンセリングでは、遺伝に関わる悩みや不安、疑問などを持たれている方々に、病気や遺伝について科学的根拠に基づく正確な医学的情報を分かりやすくお伝えし、理解していただけるようにお手伝いいたします。
その上で、十分にお話をうかがいながら、心理面や社会面も含めた支援を行います。
認定遺伝カウンセラーについて
遺伝に関わる問題と向き合っていくうえでは、ご自身やご家族の病気や将来について、自分自身で考え、何らかの選択することが必要な様々な場面を経験します。遺伝子や染色体の検査を受けるかどうかについて考え、決めることはその場面の一つです。
それらのような場面では、からだや遺伝に関する医学的なことだけでなく、それにまつわる心理的なこと、社会的なことについてもサポートが必要と感じることがあるでしょう。そのような場合に、皆さまが直面する医学的、心理的、社会的な課題を整理したり、医療情報はもとより福祉や療育に関する情報(社会資源)について皆さまにお伝えしたりすることで、ご自身が納得のできる方針を立てることができるように、臨床遺伝専門医と連携してサポートするのが、認定遺伝カウンセラーです。
認定遺伝カウンセラーは、日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同で認定している遺伝医療の専門家です。 認定遺伝カウンセラーの一覧は、認定遺伝カウンセラー制度委員会のホームページでご覧いただけます。
遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer, HBOC)症候群
乳がんや卵巣がんの5-10%は、遺伝的な要因が強く関与して発症していると考えられています。その中で最も多くの割合を占めるのが、HBOCです。
HBOCは、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子の生殖細胞系列の病的な変異が原因で乳がんや卵巣がんを高いリスクで発症する遺伝性腫瘍の1つです。
HBOCを臨床所見から確定診断することはできませんが、乳がんの若年発症や、同時/異時・同側/対側乳がん、乳がんだけでなく卵巣がんも発症した既往歴などが、HBOCを疑うべき臨床的な特徴です。また、複数の乳がんや卵巣がんの家族歴が見られることもHBOCを疑う特徴となります。
しかし、乳がんや卵巣がんを発症した方の中にはこれらの特徴が必ず見られる訳ではなく、特徴がなくてもBRCA1/2遺伝子検査の結果によってHBOCと診断された症例もあります。
HBOCは遺伝性の疾患で、生殖細胞系列におけるBRCA1/2遺伝子の変異は、親から子へ、性別に関係なく50%(1/2)の確率で受け継がれます。
BRCA1/2遺伝子の病的変異を持つ家系で、乳がん、卵巣がんを、まだ発症していない家族に遺伝子検査をすることで、効果的な対策が可能となります。
HBOCの発症が心配な場合は、専門の医師やカウンセラーに相談し詳しく説明を受け、将来の健康について専門家の意見とアドバイスを受けることが勧められます。プライバシーにも十分な配慮が必要で、カウンセリングの結果により、検査希望者に遺伝子検査を実施します。
カウンセリングでは、患者さんご本人やご家族の状況をお聞きし医学的情報をわかりやすく説明することが大切です。さらに、予防や早期発見・早期治療、また社会的サポートについてなど、役立つ情報をお伝えし、患者さんが自分に合った、よりよい対処法を選択する手助けをする役割があります。