腹腔鏡下胆嚢摘出術
外科的治療の第一は腹腔鏡下胆嚢摘出術です。当科では、現在までに約5,000名の患者さんに行い、良好な結果を得ています。当院の手術の大きな特徴は
- 傷がさらに小さい:さらに美容的
- 通常の行われている10mmを2本、5mmを2本の手術よりさらに小さな傷で手術を施行しています。例えば、3mmを3本と10mmを1本だけの極小の傷での手術が可能です。
- しかもその傷は皮下縫合だけで、皮膚自体を縫わない
- 術中胆道造形を常に行い、総胆管の石の遺残を無くす
- 総胆管を結石があっても内視鏡治療術後に追加することなく、腹腔鏡下手術で一回にとってしまう
なぜなら、われわれは、熟練した技術、多数の手術困難例の経験、ルーチン化した術中胆道造影そして総胆管結石を腹腔鏡下手術で除去することで、開腹移行率を1%以下に抑えた極めて高い精度の腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行しています。術後に総胆管結石が遺残することのないようにしています。
胆嚢をとれば胆石の再発はまずなく、治療が終了します。痛みが少なく、早期の退院、早期の社会復帰が可能です。美容上、時間とともに傷はほとんどわからなくなってしまいます。元気な患者さんの場合は日帰り、あるいは一泊手術ですむ場合もあります。しかし、急性胆嚢炎が進むと胆嚢が腐ってしまう、あるいは激しく癒着してしまうことがあり、開腹する手術が必要になることがあります。また、胆嚢癌が疑われる場合も開腹が必要です。
この手術の欠点・問題点もいくつかあります。
- 開腹移行が1%ほどあります。
- 胆管を傷つける、いわゆる胆管損傷が0.3%あります。
- 術後に胆汁が漏れることが0.3%ほどあります。
- 胆嚢癌の合併が胆嚢結石症には0.5%位ありその時に開腹移行したり、術後に胆嚢癌の根治手術が必要になることがあります。
- ごく一部の方に総胆管に石が残ることがあります。
- 一部の患者さんに、胆嚢を取ると下痢をしやすくなる、あるいは腹痛や胃炎が出ることがあります。
胆嚢欠損症状といわれます。今後の課題です。
日帰り1泊入院手術について
胆嚢結石症で炎症がさほどでなく70歳以下の方で大きなそのほかの病気をお持ちでない方と、そけいヘルニアで同様に70歳以下の方でそのほかの重大な病気をお持ちでない方でヘルニアが巨大でない方を対象に日帰り1泊入院手術(24時間入院)が可能です。
手術当日朝に入院し、午前中に手術を全身麻酔科に行い、1泊し翌日午前に退院するものです。
腹腔鏡下胆嚢摘出術論文 |
---|
徳村 弘実、鹿郷 昌之、原田 伸彦、ほか: 腹腔鏡下胆嚢摘出術の基本手技:消化器外科26:1631-1637,2003 |
柿田 徹也、徳村 弘実:内視鏡外科手術に必要な解剖と術野の展開-胆道- :日鏡外会誌9:415-419:2004 |
徳村 弘実、梅澤 昭子、坂本 宣英、ほか:ルーチン腹腔鏡下経胆嚢管的胆道造影1.179例の検討:胆道13:301~307,1999 |
徳村 弘実:臓器別基準-- 胆嚢:日鏡外会誌10;346-350,2005 |