予防医療部について
予防医療部では、働く人の疫学予防と健康促進を支援しています
予防医療部においては、健康診断結果等に基づいて、医師、保健師、管理栄養士、理学療法士の各専門スタッフが個別に生活指導(禁煙指導含む)、栄養指導、運動指導等行い、健康づくりのサポートに取り組んでおります。
その他、勤労者の健康確保を図るため、過労死に係る生活習慣病等の発症の予防及び増悪の防止に関する予防医療活動を通じて、事例の集積、集積した事例の分析・評価により効果的な予防法・指導法を開発するための調査研究「予防医療モデル事業」に取り組んでおります。
予防医療部 部長紹介
東北労災病院 治療就労両立支援センター 予防医療部長 宗像 正徳
労働者健康安全機構 本部研究ディレクター(兼務)
《略歴》
- 昭和 60年3月
- 東北大学医学部卒業
- 昭和 62年6月
- 東北大学大学院医学研究科研究生(第二内科)
- 平成 2年10月
- 東北大学医学部付属病院医員(第二内科)
- 平成 6年6月
- 東北大学医学部付属病院助手(第二内科)
- 平成 8年1月
- 東北労災病院循環器科副部長
- 平成 15年4月
- 東北労災病院勤労者予防医療センター部長
- 高血圧内科部長(兼任)
- 平成 21年4月
- 労働者健康福祉機構労災疾病13分野「過労死」研究主任研究者
- 10月
- 労働者健康福祉機構本部研究ディレクター(兼任)
- 平成 22年3月
- 上海同済大学医学院客員教授
- 平成 26年4月
- 東北労災病院治療就労両立支援センター予防医療部長
(勤労者予防医療センター改変に伴う) - 労働者健康福祉機構生活習慣病研究センター長
- 東北大学医学部臨床教授(腎・高血圧・内分泌科)
- 令和 6年4月
- 東北労災病院治療就労両立支援センター予防医療部長
- 東北大学医学部臨床教授(腎臓・高血圧内科)
- 労働者健康安全機構本部研究ディレクター(兼任)
《資格・認定医》
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本高血圧学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医、社会医学系専門医・指導医
《所属学会》
日本内科学会(会員)、日本循環器学会(会員)、日本高血圧学会(評議員、特別正会員)、日本職業災害医学会(評議員)
《その他》
宮城労働局労災協力医、宮城産業保健総合支援センター相談員、宮城県社会保険診療報酬請求書審査委員会審査委員
予防医療モデル事業
予防医療モデル事業とは
労働者健康安全機構では、これまで取り組んできた労災疾病等医学研究から得られた成果を活用することにより、平成26年度から新たに、がん、糖尿病、脳卒中の罹患者及びメンタルヘルス不調者に対し休業等からの職場復帰や治療と就労の両立支援への取組を行い、事例収集し、医療機関向けのマニュアルの作成・普及に向けて取り組んでおります。
- テーマ1 生活習慣に伴う疾患(メタボリックシンドローム、高血圧、喫煙、飲酒など)
- テーマ2 作業動作に伴う運動機能障害(関節痛、腰痛、頸肩腕症候群など)
- テーマ3 高齢勤労者特有の健康障害(ロコモティブ症候群、サルコペニアなど)
- テーマ4 勤労女性特有の健康障害(更年期、ライフステージ、勤務形態など)
- テーマ5 ストレス又は不眠(睡眠障害など)
研究テーマ
当センターでは、以下の2つのテーマの研究に取り組んでおります。
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①中年期以降の高血圧患者の動脈壁硬化度、転倒リスクの改善に寄与する運動指導マニュアルの開発と普及・啓発
- ・研究代表者:理学療法士 佐藤友則、予防医療部長 宗像正徳
- ・研究実施・普及期間:令和元年12月~令和6年3月
- ・研究目的:中年期以降の高血圧患者の健康増進(心血管代謝リスク、転倒リスクなど)に最適な運動様式を検討し、運動指導マニュアルを開発・普及・啓発すること。
-
②高血圧患者における低負荷の握力トレーニングが、血圧、糖、脂質代謝に及ぼす効果の検討-無作為化比較試験-
- ・研究代表者:保健師 根本友紀、予防医療部長 宗像正徳
- ・研究実施・普及期間:令和元年12月~令和6年3月
- ・研究目的:高血圧患者に対するハンドグリップを使用した低負荷の握力トレーニングが、有意な降圧効果を有するか否かを、家庭血圧及び随時血圧を用いて検証すること。
研究の成果など
学会発表など
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特定保健指導の成果がでにくいメタボの職員むけの新しい取り組みの紹介です
特定保健指導をうけたのになかなか体重が減らない、メタボがよくならないという勤労者は一定割合で存在します。そのような方には、運動する場所と時間を与え運動する環境を整えるという取り組みが有効です。本研究はそのことを明らかにしたものです。
更年期女性への禁煙の健康効果を検討した初めての取り組みです
更年期は女性ホルモンの低下により、動脈硬化が進行しやすくなる時期です。喫煙は動脈硬化を促進する要因なので、更年期の喫煙というのは心血管リスクを 増悪させる可能性があります。本研究は、更年期女性に禁煙指導を行うと どのような健康効果が得られるかを検討した初めての取り組みです。また、更年期 女性の喫煙の背景には様々なストレスが存在し、禁煙を難しくすることもわかりました。
握力トレーニングが家庭血圧を低下させることが明らかになりました
高血圧の治療に運動療法は欠かせませんが、時間や場所がなく運動できないという 勤労者や足腰が痛くて運動できないという高齢者はたくさんいらっしゃいます。 本研究はこのような方々でも実施可能な握力トレーニングが血圧を下げることを明らかに した研究です。家庭血圧は診察室血圧より精度の高い血圧値であり、家庭血圧の低下は心血管リスクの確実な低下を意味しています。
自宅での筋力トレーニングは血圧を下げ、代謝を改善し、転倒リスクも低下させます
寝たきり予防は高齢化社会の重要な課題です。我々は、動脈硬化の予防とサルコペニアの予防を同時に達成する運動指導の方法を模索してきました。本研究は家庭で長期に筋力トレーニングを行うことで、血圧や脂質代謝が改善し、筋力も増強して転倒リスクが低下することを明らかにしました。家庭での筋力トレーニングの継続は脳卒中のみならず虚弱による 寝たきり予防にも有効と思われます。
膝の痛みがある方へのホームエクササイズを開発する取組です
膝関節痛への対策として、筋力の強化やストレッチの実施が有効とされていますが、関節痛があると運動は消極的になりがちです。本研究は、膝関節痛のある方でも自宅でできるホームエクササイズによって高血圧や関節痛を軽減できることを明らかにした研究です。家庭での運動の継続は血圧、動脈硬化度、運動機能の改善にも有効と思われます。
健康診断結果等に基づいた各種指導
生活習慣病予防のための個別指導
当センターでは、健康診断結果等に基づき、医師、保健師、管理栄養士及び理学療法士の各専門スタッフが個別に生活指導(禁煙指導含む)、栄養指導及び運動指導等を行い、あなたの健康づくりをサポートします。 また、身体に障害がある方や高齢者、すでに薬物治療を行っている方など、特定保健指導の対象にはならない方の指導も行っております。
調査研究の推進
メタボリックシンドロームに対する適切な生活指導を確立するために多施設共同研究を全国の労災病院治療就労両立支援センターが連携して行っております。よりよい、生活指導の方法やメタボリックシンドロームの予防をするための政策の提言に役立つ研究を目指しております。
《出張》研修会・講習会などの開催
特定保健指導については、どのように対処したらよいかわからないという方、メタボリックシンドロームについて不安な方、また、職場の健康づくりを積極的に進めたい方など多いと思います。 当センターは、平成15年より生活指導専門の施設として運営して参りました。既に、3000例以上の肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症の方に指導を行って参りました。もちろんメタボリックシンドロームに対する指導経験も多数あります。これらの蓄積から得られたノウハウを研修会や講習会という形で皆様にお伝えいたします。