化学療法センターのご案内
各種腫瘍の薬物療法は副作用対策の発達もあり、従来のように入院して治療を受けるだけでなく、通院しながら点滴治療が受けられることも多くなりました。またその治療成績も入院治療と比べてけっして劣るものではありません。この度、あなたの薬物治療が当・外来化学療法センターで行われることとなり、センターを代表して歓迎の意といくつか重要な点をお伝えしたいと存じます。
原則として医師の外来当日に来院していただき、その診療科の外来で検査(採血など)・診察を受けていただきます。その結果、主治医がその日のあなたへの薬物治療が可能と判断した場合に当センターに来ていただき、薬物治療が行われます。今後の薬物治療の内容やスケジュールに関しては主治医から説明を受けられていることと存じますが、なお不明の点は当センターの医師・看護師にお尋ね下さい(質問の内容によっては即答できないこともありますが、主治医・担当部署などと検討し、なるべく早くお答えいたします)。
お願い
外来薬物療法では、入院での治療の場合よりもさらに患者さんご自身による体調の自己管理が重要です。特に、以下の点にはお気をつけ下さい。
- 体重は体調やむくみ(浮腫)の良いものさしです。少なくとも毎週1回は決まった時刻(排尿後)に体重を測定して下さい。急激な体重の増減(例えば1週間で2kg以上の増減)は受診の際に主治医に告げて下さい。
- ご自宅での症状(食欲不振・吐き気・嘔吐・発熱・下痢・痛みなど)も毎日メモされて受診日に主治医にお見せになると診療上、大変参考になります。主治医に質問したい項目なども同時に整理してメモされると、受診の時に忘れませんし、診療がスムーズに行われます。
- 白血球数の減少により薬物治療ができない場合には、主治医の指示に従って生魚(刺身)などの熱を通さない食物は控えていただくこともあります。白血球減少の状況によっては白血球数を増加させる薬剤の注射や入院が必要になる場合もあります。
- 治療が決定して、主治医が薬物治療を薬剤部へ指示しても、その日の他の患者さんへの薬物治療の件数・内容・順番により、薬物の調整に時間がかかることもあります。また、当センターのベッドの数が限られていることからベッドが空くのをお待ちいただくこともあります。ご迷惑をおかけいたしますが、この事情をどうかご理解いただきますようお願いいたします。
- 薬物の血管内投与には、血管外に薬物が漏れる(血管外漏出といいます)の危険があります。注射針をどんなに注意深く血管に刺しても、ごく稀ですが血管外漏出が起こることが知られています。センターの看護師・医師はこれを避けるために穿刺前後に状態を確認して注射針を固定しますが、患者さんご自身も薬物が投与されている間および治療終了後も穿刺部位や血管の状況を観察していただき、異常を感じたら即座に看護師・医師にお知らせ下さい。
- 発熱・下痢・便秘・口内炎・手足の麻痺・痛み・発疹も薬物療法の副作用の可能性があります。ご心配の場合は遠慮なく病院(電話022-275-1111)に連絡して下さい。その場合「通院して抗がん剤治療を受けている」と告げて下さい。通常診療時間外の場合にも日当直医が対応いたします。
- この他、お気づきの点がありましたら遠慮なくセンターの医師・看護師にお伝え下さい。
治療当日の流れ
- 1. 受付
- 1階再来受付機で受付を行います。外来基本票(緑ファイル)と受付箋をお受け取りください。受付箋に記載してある受付番号でお呼びします。受付は診察の予約時間の1時間前から可能です。
- 2. 血液検査
- 採血の指示があれば1階の採血室に外来基本票(緑ファイル)を提出してください。採血の結果が出るまで約1時間程度かかります。
- 3. 各診療科 外来受付
- 各科の外来受付に外来基本票(緑ファイル)を提出してください。診察までの待ち時間に血圧や体温などの測定、副作用評価シートをご記入頂きます。
- 4. 診察
- 医師の問診や検査結果を元に、その日の化学療法を実施するか決めます。
※診察は受付順および採血結果が出た方からお呼びしておりますが、診察内容によって順番が前後する場合がございますのでご了承ください。
※腫瘍内科の診察は病棟の回診終了後より開始させていただいております。 - 5.化学療法センターでの治療
- 外来基本票(緑ファイル)を化学療法センターの入口にあるピンク色のケースにお出しください。看護師がベッドまたはリクライニングチェアをご案内します。薬が届き次第、治療を開始します。
- 6.会計
- 1階の2番窓口に外来基本票(緑ファイル)を提出してください。会計をお済ませください。
来室時にお持ちいただくもの
必要に応じて以下のものをご持参ください。
- お食事(においの少ないものをお願いいたします)
- お飲み物(お薬を飲まれる方は、水やお茶をご準備下さい)
- イヤホン(テレビは無料で視聴頂けます)
- DVD(プレイヤーをお貸し致します。但しブルーレイは対応していません)
- 本や雑誌など
- ウエストポーチ(インフューザーポンプを用いた治療を受けられる方)
治療中のお願い
点滴治療中に薬剤が血管の外に漏れると、漏れた部位が腫れたり、炎症を起こすことがあります。特に抗がん剤の場合、周囲の組織を傷つけて皮膚障害を起こす可能性があります。その為、抗がん剤の漏れを防ぐと共に、漏れてしまった場合は早期発見と対処が重要です。
- 針の挿入部位の安静を保ちましょう
- 体を動かすことで、針の固定が緩んだり、ずれることがあります。治療中は針の挿入部位の安静を保つようにしてください。治療中にトイレに行く前後、手を洗う、食事をする等、体を動かした後は看護師が確認しますので声を掛けてください。
- 以下のような症状に気づくことが早期の対処に繋がります
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- 針の刺入部の赤み、腫れ、違和感
- 針の刺入部の針の挿入部の痛み(ピリピリした感じ、重苦しい感じ、焼けるような感じ)
- 針の刺入部の点滴の速度が遅くなった、点滴が落ちていないとき
- 針を抜いたらしっかり押さえましょう
- 針を抜いた後は決してもまずに、5分間を目安にしっかり押さえてください。
- 一週間程観察を続けましょう
- 抗がん剤は漏れた直後に変化が見られなくても、数日後に痛みや皮膚の変化などが現れることがあります。針を抜いた後も、一週間を目安に皮膚に変化がないか観察してください。痛みや皮膚に変化が現れた場合は、受診している診療科の外来にご連絡ください。
治療を受ける患者さん・ご家族の方へ
抗がん剤は投与後しばらくの間、排泄物(尿・便・吐物)に抗がん剤の成分が含まれていることがあります。できる範囲で以下の対策をお勧めいたします。
対策をとる期間
- 抗がん剤投与後2日間。その後は通常通りで結構です。
- 内服の抗がん剤の場合、内服開始日から内服終了後2日間。
排泄時の注意
- 排泄は尿が飛び散らないよう便座に座って行ってください。
- 排泄後はトイレの蓋を閉めてから水を2回流してください。
- 尿、便、血液がこぼれた場合はペーパーでふき取り、トイレに流しましょう。
- 最後に石鹸で手洗いをしましょう。
排泄物(尿、便、吐物)の処理について
- 排泄物を処理する際やストーマ、オムツ、尿道カテーテルの処理をする時は、使い捨て手袋を使用し、ビニール袋に入れ密閉して一般ごみに捨ててください。
- 排泄物が手や皮膚についた場合は石鹸で洗い流しましょう。
- 最後に石鹸で手洗いをしましょう。
寝具、衣類の取り扱い
- 尿、便、吐物、大量の汗、血液で汚れた洗濯物は通常の洗剤で2度洗濯してください。1度目は他の洗濯物とは分けて洗い、2度目は通常の洗濯を行ってください。
連絡していただきたい症状
以下のような症状が現れた時は、下記の連絡先にご連絡ください。
- 38.0度以上の発熱が続くとき
- 吐き気や嘔吐が続き、水分も飲めないとき
- 下痢が続き、排便回数が通常より5回以上増加したとき
- 治療の後におきた症状で、体がとても辛いとき
※連絡する際は「外来で抗がん剤治療を受けている」ことを伝えてください。
※お手元に診察券を用意し、ID番号とお名前を教えてください。